エンジニア獲得競争に打ち勝つために、押さえておくべきIT業界の動向と採用のポイント
近年、ITエンジニアの獲得競争は激しさを増しており、採用が難しい状況が続いています。厳しい状況の中でITエンジニアの採用を成功させるために、IT業界の流れを把握するとともに採用するポイントも押さえていきましょう。
●ITエンジニア不足とIT業界の現状
IT業界では長年ITエンジニアが不足した状態が続いており、年々不足数が増し人材不足が深刻化しています。ITエンジニアの不足数は2030年に最低でも41万人、最大で79万人に上ると予測されています。人材が不足していく中ITエンジニアへの需要は高まっており、採用も積極的に行われています。doda転職求人倍率レポートによると、2019年9月の技術系(IT・通信)の有効求人倍率は10.33となっており全職種で唯一2桁台の数字となっていました。有効求人倍率トップ5に技術系の職種が3つも入っていることからも、ITエンジニアに対する需要の高さが伺えます。
●ITエンジニアの採用が難しい理由
近年、ITエンジニアの採用は厳しい状況が続いています。ITエンジニアが不足しているという根本的な問題もありますが、社内の採用体制が不十分で採用を難しくしてしまっている場合もあります。ITエンジニアの採用が難しくなっている理由を詳しく見ていきましょう。
◎ITエンジニアの数が不足している
ITエンジニア不足が進む一方でITエンジニアの需要は年々高まりを見せており、ITエンジニアの獲得競争は熾烈を極めています。ITエンジニアの不足数は2015年時点で17万人でしたが、2030年には最大で79万人まで不足数が膨れ上がると予測されています。今後もITエンジニア不足が解消される見込みがないことから、企業間の競争はますます激しくなり採用は厳しい状態が続くでしょう。
◎優秀なITエンジニアが転職市場に出てきづらい
日本では長年ITエンジニアが不足している状態が続いており、貴重な人材を確保しておくため好待遇で優秀なITエンジニアを囲いこむことも珍しくありません。良い条件で働いているITエンジニアはわざわざ転職を行う必要がないため、転職市場に優秀な人材が揃いづらくなっています。また、フリーランスの道を選ぶ人が多いことも、転職市場に人材が揃いづらい要因となっています。
◎採用条件が合わない
先ほども紹介したように、ITエンジニア業界は売り手市場の状態が続いています。そのため、魅力的な採用条件を出さなければ、優秀な人材は優良な企業へ流れていってしまいます。売り手市場という現状を理解せず会社本位の採用条件を設定してしまうと、応募者が集まりにくく採用活動の成功が難しくなってしまいます。
◎人事担当と現場担当の意思の疎通ができていない
人事担当と現場担当で採用基準のすり合わせがうまくできていないと、ミスマッチが生じ採用が失敗に終わる場合があります。特に、ITエンジニアとしての経験のない人物が採用を行なう場合は、応募者の技術レベルを正確に見極められない可能性が高いので注意が必要です。他にも、現状のスキルを重視するのか、将来性を重視するのか、コミュニケーション能力を重視するのかなど、現場が何を求めているのか十分に理解せずに採用を進めてしまうと本来必要としている人材の採用が難しくなってしまいます。
●外国人ITエンジニアの採用も視野に入れてみよう
紹介したように国内ではITエンジニアが不足した状態が続いており、採用が厳しい状況が続いています。深刻な人手不足を解消するために、近年注目を集めているのが外国人ITエンジニアです。外国人ITエンジニアの採用は年々増加しており、2008年には約18,000人だった外国人ITエンジニアは2015年には約36,000人になっており7年間で約2倍に増加しました。日本人ITエンジニアに引けを取らない技術レベルを有している外国人ITエンジニアも多く、日本人ITエンジニアと遜色のない活躍が期待できます。また、外国人エンジニアを採用することは、海外進出の戦力確保にもつながるなど採用メリットも十分にあります。日本人ITエンジニアの採用が上手くいかない場合は、外国人ITエンジニアを採用するのも一つの手でしょう。
●優秀なITエンジニアを採用するための3つのポイント
優秀なITエンジニアを採用するためには、闇雲に採用活動を進めるのではなく計画的に採用を進めていくことが大切です。また、優秀なITエンジニアに「この企業で働きたい」と思ってもらえるように、魅力的な労働環境を作っていくことも大切になります。優秀なITエンジニアを採用するために押さえておくべきポイントを確認していきましょう。
◎採用したい人物像を明確にする
まずは採用したい人物像を明確にすることが大切です。仕事を行ううえで必要となるスキルや、部署での役割、チームで仕事を進めていく場合はコミュニケーション能力なども考慮しながら人物像を考えていきましょう。また、人事担当者だけで採用を進めてしまうと現場と意見の相違が生まれる可能性が高くなるので、配属予定部署の担当者としっかり話し合いを行っていくことも大切です。
◎採用条件を広く設定する
ミスマッチを防ぐために細かく採用条件を設けることは大切ですが、採用条件を厳しくしすぎると応募者が集まらない可能性もあります。他社の動向や業界の流れを見極めながら、必要に応じて採用条件をある程度緩和することも大切です。採用条件を広げることで、思わぬ逸材を採用できることもあります。採用条件として「絶対に譲れないこと」と「妥協できること」を考え、採用条件を決めましょう。
◎働きやすい労働環境の整備
優秀なITエンジニアを獲得するためには、社員が働きやすいように労働環境を整えていくことも大切です。劣悪な労働環境を敷いていると応募者が集まりにくく、仮に採用に至っても早期に退職の道を選んでしまう可能性もあります。IT業界離れと囁かれた時代もあるようにIT業界の労働環境は劣悪な時期もありましたが、近年では働き方改革も働きやすい環境作りに取り組んでいる企業も珍しくありません。残業や休日出勤がないのははもちろんのこと、リモートワークや副業の許可など多様な働き方が認められていることも人気の条件となってきています。優秀なITエンジニアに選んでもらえる会社となるよう、社員の働きやすい労働環境を整えていきましょう。
◎将来性を重視した採用を行う
採用において候補者の今のITスキルを見ることも大切ですが、将来性の見極めも大切になります。実務経験はなくてもプログラミングスクールなどで学習を重ね、基本的なIT技術は持ち合わせている人も少なくありません。また、IT業界は技術の進歩が非常に早く最新の技術を習得するために入社後も常に学び続けることが必要になるため、意欲がなければ活躍しにくくなっています。成長が見込めるポテンシャルを持ち合わせているのか判断することも、採用においては重要になります。
●まとめ
ITエンジニアの不足数は年々増加する一方でITエンジニアの需要も伸び、企業間での人材獲得競争が激しくなり採用が厳しい状況が続いています。厳しい状況の中で採用を成功するには、闇雲に採用活動をしてはいけません。まずはミスマッチが起きないように、採用したい人物像を明確にしましょう。採用担当と現場担当でしっかり話し合いができていないと求める人物像に相違が生まている可能性もあるので、社内間でコミュニケーションをとることも非常に大切です。また、優秀な人材を確保するために好待遇を用意している企業も多いため、優秀な人材に自社を選んでもらえるよう魅力的な採用条件を打ち出す必要もあるでしょう。国内のITエンジニアで良い人材が見つからない場合は、外国人ITエンジニアに目を向けてみるのも良いでしょう。外国人ITエンジニアの採用数は年々増加しており、日本での実績も十分です。IT技術のスキルや語学力に長けた外国人ITエンジニアも多く、日本人エンジニアと遜色ない活躍が期待できるでしょう。厳しいITエンジニアの獲得競争に打ち勝てるよう、採用のポイントを押さえ計画的に採用活動を進めていきましょう。