高度人材のポイント制とは|制度の概要と計算方法をより詳しく解説
前回のコラム「外国人採用における「高度人材」とは|申請方法や必要書類を解説 」では、高度人材の制度の種類や優遇制度、申請方法についてご説明しました。
今回はご質問が多かった「高度人材で採用されているポイント制」について、より詳しくご説明いたします。
外国人の採用を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
●高度人材のポイント制とは
高度人材のポイント制は、高いスキルを持つ外国人材の活用を目的として2012年に導入された制度です。
出入国在留管理庁のサイトで公開されているポイント表に基づき、学歴や職歴、年齢、年収といったさまざまな要素をもとに計算されます。高度人材として認定を受けるためには、70点以上のポイントを獲得する必要があります。
高度人材に認定されれば、さまざまな優遇措置を受けられるため、対象の外国人社員はもちろん、採用する企業にとっても大きなメリットのある制度です。
具体的には、複合的な活動が認められているため柔軟な人材活用が可能である点や、在留期間が通常の在留資格より長いため長期的な計画を立てやすい点などが挙げられます。
高度人材の認定をポイント制によって行うことで、能力や経歴を客観的に評価することが可能となっています。後述する通り評価項目は多岐にわたりますが、総じて「日本経済の発展を促す人材かどうか」が見られていると考えればよいでしょう。
●高度人材の種類
高度人材は、高度専門職1号と高度専門職2号の2種類に分けられます。さらに高度専門職1号は活動内容によって「イ・ロ・ハ」の3種類に分けられます。
・高度専門職1号(イ):高度学術研究活動(大学教授、科学者など)
・高度専門職1号(ロ):高度専門・技術活動(エンジニアなど)
・高度専門職1号(ハ):高度経営・管理活動(企業経営者など)
企業で採用する技術職などの場合は、高度専門職1号(ロ)に該当するでしょう。
高度専門職2号は、高度専門職1号の資格を取得してから3年以上在留し、かつ日本の利益に合致した活動を行っていると認められた場合に取得できます。また、在留期間中の素行が善良であることも要件の1つです。
初めて高度人材を申請する場合は、高度専門職1号の対象となります。計算方法やポイントは「イ・ロ・ハ」の3種類でそれぞれ異なるため、まずはいずれに該当するか見極めることが最初のステップとなります。
●高度人材のポイント計算方法
ここでは、高度人材の具体的なポイント計算の方法について解説します。エンジニアの採用を想定し、高度専門職1号「ロ」の計算方法を見てみましょう。
ポイント計算の評価項目としては、以下の5つが挙げられます。
・学歴
・職歴
・年収
・年齢
・ボーナス(研究実績、日本語能力、業務内容、その他)
それぞれの項目について解説します。
◎学歴
学歴によるポイントは、以下の通り付与されます。
・博士号:30ポイント
・修士号:20ポイント ※
・大学卒業またはそれと同等以上:10ポイント
※経営管理に関する専門職学位(MBA、MOT)を有する場合はさらに5ポイント加点
上記に加え、博士号や修士号、専門職学位を複数有する場合は5ポイントが加算されます。また、特定の大学を卒業している場合は後述の「ボーナス」の部分で加点される場合があります。
◎職歴
職歴によるポイントは、以下の通り付与されます。
・10年~:20ポイント
・7年~:15ポイント
・5年~:10ポイント
・3年~:5ポイント
ただし、高度人材として従事する予定の業務に関連する職歴でなければカウントされないため、注意しましょう
◎年収
年収によるポイントは、以下の通り付与されます。
・1,000万円:40ポイント
・900万円:35ポイント
・800万円:30ポイント
・700万円:25ポイント ※39歳以下のみ
・600万円:20ポイント ※39歳以下のみ
・500万円:15ポイント ※34歳以下のみ
・400万円:10ポイント ※29歳以下のみ
高度専門職1号(ロ)の「高度専門・技術活動」においては、最低年収基準として300万円以上であることが必要とされているため、注意しましょう。
また、上記のポイントには年齢による制限があり、例えば40歳以上になるとポイントが付与されるのは年収800万円以上からとなります。年齢次第では上記のポイント付与が受けられないため、注意が必要です。
◎年齢
年齢によるポイントは、以下の通り付与されます。
・29歳以下:15ポイント
・34歳以下:10ポイント
・39歳以下:5ポイント
若いほど付与されるポイントは高く、40歳以上の場合は年齢によるポイントの付与が受けられません。
◎ボーナス(研究実績、日本語能力、業務内容、その他)
ボーナスには研究実績や日本語能力、資格、従事する業務の内容や所属予定の機関など、多岐にわたる項目があります。
例えば、研究実績では以下の項目に対して15ポイントが付与されます。
・1件以上の「特許の発明」
・3件以上の「入国前に公的機関からグラントを受けた研究に従事した実績」
・3本以上の「日本の機関において利用されている学術論文
データベースに登録されている学術雑誌に掲載されている論文(申請人が責任著者であるものに限る。)」
・著名な賞の受賞歴など、上記3つの項目と同等の研究実績
さらに、日本語能力も重要なポイントです。日本語能力試験N1を取得するか、外国の大学において日本語を専攻・卒業した場合は15ポイントが付与されます。日本語能力試験N2を取得した場合は10ポイントです。また、日本の高等教育機関で学位を取得している場合は別途10ポイントが付与されます。
そのほか、所属予定の組織がイノベーション促進の支援措置や、高度人材外国人の受け入れを促進するための支援措置を受けている機関であれば10ポイント、試験研究費等比率が3%超の中小企業であれば5ポイントが付与されます。
また、従事する事業が「成長分野における先端的事業」に該当する場合、10ポイントが与えられます。
このように、ボーナス欄には多岐にわたる評価項目が設定されているため、対象となる外国人材に該当するものがないか丁寧にチェックしましょう。学歴・職歴・年収・年齢・ボーナスのポイントを合算して70点以上になれば、高度人材としての申請が可能になります。
●まとめ
本記事では、高度人材のポイント制の仕組みや具体的なポイントの計算方法をご紹介しました。
高度人材の申請が認可されれば、優秀な外国人材をスムーズに採用できるほか、通常の在留資格に縛られない柔軟な人材活用が可能になります。また、在留期間も高度専門職1号であれば5年、高度専門職2号であれば無期限となっており、長期にわたる外国人材の活用が可能です。
しかし、高度人材の申請手続きや該当する外国人材の発掘はハードルが高いと感じる担当者の方も多いでしょう。スムーズに外国人材を活用するためには、外国人の派遣に特化した人材派遣サービスを利用するのも1つの手です。
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