外国人採用のメリットと注意点とは|最新動向を踏まえて解説
近年、製造業の開発センターや研究所、IT企業など高度なスキルを要する仕事でも外国人が活躍するケースが増えています。人手不足解消などのため、外国人材の活用を検討する経営者・人事担当者は多いでしょう。
本記事では、外国人採用のメリットと注意点について、最新動向を踏まえて解説します。外国人社員の採用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
●近年増加する外国人採用
日本では少子高齢化が進み、生産年齢人口の減少が深刻な問題となっています。多くの企業が人手の確保に苦戦しており、その解決策として外国人の採用が増えています。
日本で働く外国人材の数は右肩上がりで増えており、
厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30367.html
によると、2022年10月末には前年比5.5%増加の約182万人と過去最高を更新しました。
なかでも、「専門的・技術的分野の在留資格」の対象者は前年比21.7%増加の約48万人となっており、より高度なスキルを持つ外国人材の活用が進んでいるといえます。
●外国人を採用する3つのメリット
外国人を採用するメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
・高度人材を確保できる
・多言語対応が促進される
・助成金を活用できる
それぞれのメリットを解説します。
◎高度人材を確保できる
高度人材とは、外国人材のなかでも特に専門的な知識や技術を持つ人材のことです。
外国人材に目を向けることで、エンジニアなど不足しがちな高度なスキルを持つ人材の確保が可能になるでしょう。高度人材として認定された外国人の採用には、企業側にもさまざまなメリットがあります。
日本政府は専門知識やスキルを持つ外国人の採用を促進するため、通常より長い在留期間の付与や永住許可条件の緩和、在留手続きの優先処理といった支援策を実施しています。
外国人材の活用を検討しているものの、在留期間による制限や手続きの複雑さによって運用が難しいと感じる企業は多いでしょう。高度人材の制度を活用すれば、優秀な人材をスピーディーに確保することが可能です。
関連記事:外国人採用における「高度人材」とは|申請方法や必要書類を解説
◎多言語対応が促進される
外国人社員の雇用が増えれば、社内の多言語対応も促進されていきます。
外国籍の社員は日本語の習得に励んでいるものですが、やはり自国語や英語でのコミュニケーションのほうが容易であるケースがほとんどです。外国籍の社員が存在することで、社内の多言語化が促進されるでしょう。
また、日本のマーケットが人口減少によって縮小するなか、海外展開を狙う企業が増えています。多言語対応が進むことで、海外における新たな販路の開拓や事業展開がしやすくなるはずです。
進出を狙う国で話されている言語を自由に扱える社員がいることは、大きなアドバンテージとなります。
◎助成金を活用できる
外国人を採用することで、国が用意する助成金を活用できる可能性もあります。日本人を含めた雇用全般を促進するための制度や、外国人の採用を促すための制度など、助成金の種類は多岐にわたります。
外国人材の活用に特化したものとして代表的なのは、「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」です。外国人材を受け入れる企業が通訳の手配や翻訳機器の導入といった環境構築に費用をかける際、支給要件を満たすことで一部を補填してもらえます。
外国人を採用するならば、使える助成金制度がないか一度チェックしておきましょう。
関連記事:外国人採用で使える助成金一覧|補助金との違いや申請条件も解説
●外国人を採用する3つの注意点
一方で、外国人材の採用には以下のような点を注意する必要があります。
・文化や習慣が異なる
・手続きやルールが複雑である
・受け入れ体制の構築が必要である
それぞれの注意点を解説します。
◎文化や習慣が異なる
外国人を採用する場合、文化や習慣の違いをよく理解しておく必要があります。
日本人にとって当たり前のことでも、外国人に対してはうまく言語化して伝えなければ、思わぬトラブルにつながりかねません。言葉のニュアンスや表現方法の違いから、お互いにストレスを抱えたり、業務上の重大なミスが発生したりする可能性があります。
特に、契約内容や労働条件については明文化して共有しておくことが大切です。日本では「暗黙の了解」とされていることでも、採用前の段階でしっかりと理解してもらえるよう説明する必要があります。
◎手続きやルールが複雑である
外国人を採用する際には、複雑な手続きやルールに対応する必要があります。
ビザの手配や在留資格の確認、外国人雇用状況届出書の提出など、日本人の採用と比較して多くの工数がかかるでしょう。外国人雇用の制度に変更が生じた場合には、都度対応が求められます。
複雑な手続きがネックとなる場合は、外国人材の派遣を得意とする人材サービスを利用するのも1つの手です。
◎受け入れ体制の構築が必要である
外国人材にスムーズに活躍してもらうためには、事前に社内の受け入れ体制を構築する必要があります。
言語や文化の違いからトラブルが起きないよう、所属部署の社員に対する事前説明や、外国人社員に対する日本語学習の支援といったサポートが不可欠だといえます。
勤務開始後にも、外国人社員を取り巻く環境については定期的に状況を確認し、課題解決を図ることが大切です。既存の日本人社員と外国人社員双方のストレスを解消し、満足度を高めることが、真の外国人材の活用につながります。
●外国人材を受け入れる際の注意点とは
また、外国人を受け入れる際の注意点を以下3つご紹介します。
・在留資格を確認する
・契約内容を明文化する
・生活面も含めて支援する
順番に見ていきましょう。
◎在留資格を確認する
外国人を採用する際は、どのような在留資格が必要かをまず確認しましょう。
外国人の就労ビザは職種や条件によって種類が異なり、業務内容によっては許可が出ない場合もあります。求める職種や業務内容で就労ビザが取得可能か、また採用予定の外国人は当該就労ビザの取得が可能か、事前に確認しておくことが大切です。
◎契約内容を明文化する
外国人の雇用においては、日本人の雇用以上に契約書が重要な意味を持ちます。文化や慣習の違いから「暗黙の了解」が通じないため、あいまいなポイントを残さず明文化することが大切です。
言葉の意味や解釈の違いに加え、期待や要求の相違などが生じる可能性もあります。待遇面や労働条件を文書によって明確に提示することで、認識の不一致を解消し、トラブルを未然に防げます。
給与体系や労働時間、休暇制度、福利厚生などが明確に定められていれば、勤務開始後に不満を抱える可能性は低くなります。
◎生活面も含めて支援する
海外から初めて日本に来る外国人社員は、日常生活に不安を抱えている場合がほとんどです。銀行口座の開設や住居探しなど、生活面を含めたサポートを企業側から提供することで、安心して業務に取り組めるようになるでしょう。
入国前と入国後でそれぞれ必要なサポートを洗い出し、支援体制を整えておくことが大切です。
●まとめ
本記事では、外国人採用のメリットと注意点を解説しました。
外国人材を活用することで、人手不足に陥っている日本国内でも高度なスキルを持つ人材の確保が可能となります。特にエンジニアなど人材不足に陥りがちな職種においては、有効な解決策の1つになるでしょう。
ただし就労ビザの手配や契約書の整備、社内の受け入れ体制の構築など、外国人材の採用にあたって準備すべきことは少なくありません。「外国人の採用はハードルが高そうだ」と感じた方は、外国人派遣を得意とする人材サービスを利用するのも1つの手です。
サンウェルでは高度なスキルを持つ外国籍エンジニアの紹介・派遣とともに、ビザ取得や住居手配など採用、来日に伴う全面的なサポートを提供していますので、お客様企業はエンジニアの採用のみに集中していただけます。外国籍エンジニアをお探しの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。