代表取締役
ユガナンダン・スブラマニヤン
Chief Executive Officer (CEO)
Uganandan Subramanian
「サンウェルは日本の刺激剤になります」
サンウェルは日本人エンジニア、世界中のエンジニアに活躍の場を提供します
■小さな新聞広告が運命の転機に
私のふるさとは南インドの港町、ベンガル湾に面したチェンナイです。日本では旧名のマドラスの方が知られているかもしれません。マドラス大学機械工学科を卒業しCADエンジニアとして働いていた私は、地元の新聞に載っていた小さな広告をふと目にしました。それは日本で働く機械設計エンジニアを募集する内容でした。それまで外国で働きたいと漠然とは考えていましたが、外国といえばアメリカやイギリスだった私にとって「日本で働く」という考えはとても新鮮でわくわくするものでした。
■外国籍エンジニアを救うためにサンウェルを起業
家族の応援を受けて採用試験に応募し幸いにも合格しましたが、それまで地元チェンナイを出たこともなく、日本で働き生活することは、初めての体験と驚きの連続でした。
2001年に大手電機メーカーの機械設計エンジニアとして来日しましたが、日本語はほとんど話せず職場の通訳に頼る日々でした。しかし日本で働くには日本語をマスターしないといけないと一念発起し、1年ほどで会話には困らなくなりました。そして日本での生活も軌道に乗り始め、2004年からは自動車メーカーでプロジェクトマネージャーとして100名以上の外国人エンジニアを管理するまでになりました。
しかし2008年のリーマン・ショックの影響で勤務先が倒産してしまいます。その会社には私の紹介により入社した7名のインド人エンジニアも所属しており、彼らを路頭に迷わせるわけにはいきません。当時の日本では外国籍エンジニアの受け入れ口はなく、それならば自分で会社を設立し彼らを派遣社員として雇用するしかないと心を決め、2010年にサンウェルを起業しました。
サンウェルを立ち上げた当初は会社に信用もなく、そもそも外国籍エンジニアの派遣というだけで門前払いを受けてしまうこともしばしば。やっと派遣先が決まったと思ったら、東日本大震災により外国籍エンジアが全員帰国してしまうようなこともありました。しかし日本企業が外国籍エンジニアを受け入れることのメリットを丁寧に説明し、また外国籍エンジニアにも日本と母国との違い、カルチャーギャップが起きないよう教育をすることで、次第に採用される人数が増えてきました。そして2020年にはサンウェルは創立10周年を迎え、所属する外国籍エンジニアも300人を超えました。
■サンウェルは日本の刺激剤になります
日本とインドの一番の違いは、仕事に何を求めるかです。日本ではまず「正確性」を求めますが、インドでは「スピード」が重視されます。これはインドだけではなく、世界中の国で「正確さよりスピード」が優先されているというのが私の持論です。「正確性」を追求したからこそ日本は技術大国として成功したのだとも思いますが、このままでは日本は世界から取り残されてしまいます。そのためスピードをさほど落とさず正確に仕事を行う、日本とインドのハイブリッドの仕事スタイルが、これからの日本に求められると考えます。この仕事スタイルこそがサンウェルが得意とするものであり、このスタイルを日本企業に提案し、実行していくことこそが日本への刺激剤になると考えています。
■グローバル人材によるグローバル戦略
サンウェルに所属し日本で働く外国籍エンジニアに対しては、自分たちが一緒に働く仲間たちは、違う文化で育っている人たちであることを常に意識し、文化の違いをリスペクトするよう伝えています。サンウェルには私自身を始め、自分が生まれた国以外でキャリアを積んだ人材が多く、各国の文化や働き方の違いを理解することが非常に大切であることを肌身に沁みて理解しています。そのためサンウェルから派遣する外国籍エンジニアが日本企業でカルチャーギャップに陥らないよう、教育やサポート、そしてキャリアデザインを効率的に行えるようになっています。このようなグローバル人材は、日本企業がグローバル戦略を行う上で、不可欠の人材になると考えています。
■サンウェルは「新しい挑戦」を続けていきます
変化のスピードが速い現代では、常に目標や計画をフレキシブルに変化させることが大切です。そのため10年後のサンウェルの姿を想像することはできませんし、仮に想像したとしてもその実現を企業運営の目標とすることは間違っていると思います。将来のゴールを固定せず、所属している外国籍エンジニアたち、社員たち、そしてお客様たちが、今も将来もハッピーでいられる会社で、「新しい挑戦」を続けていくことが、サンウェルの創業以来、私が一番大切にしていることです。
これからはエンジニア派遣、紹介斡旋事業に加え、ITオフショア開発や日本への就職を希望するインド人への日本語教育にも力を入れていく予定です。「新しい挑戦」を続けていくサンウェルを、これからもよろしくお願いいたします。
略歴
1997年 マドラス大学機械工学科を卒業
2001年 大手電機メーカーの機械設計エンジニアとして来日
2004年 自動車メーカーでプロジェクトマネージャーとして、100名以上の外国籍人エンジニアを管理
2010年 株式会社サンウェルを設立
2021年 日印経済委員会委員就任