2023年インド見聞記（第6回）| 世界の注目を集めるインド少数民族アート

アジア・インド進出コンサルタントとして活躍している渡辺千晶が、最近のインド出張での経験を通じて、魅力的な「今のインド」についてお伝えします。

世界の注目を集めるインド少数民族アート

世界最大の人口を誇るインドは多民族国家でもあります。中央アジア方面から移住してきたと言われるインド・アーリア系が全体の約72%、古代からインドに定住していたドラヴィダ系が約25%を占めます。インド・アーリア系は主に北部・西部・東部に、ドラヴィダ系は南部に居住しています。また中国やチベットとの国境付近には日本人には親しみやすい顔立ちのモンゴロイド系が居住しています。

このほかに500を超えるという少数民族・先住民族がインドには住んでおり、ミティラー画、ワルリー画といった伝統的なアート作品（民族画）が注目を集めています。彼らの民族画をモチーフにしたファッションや雑貨などをデリーやムンバイなどのセレクトショップやお土産物屋で見かけるようになってきました。

そのような少数民族・先住民族アートに注目し、海外に広めるきっかけを作ったのがチェンナイにあるタラブックス(Tara Books）です。タラブックスは社員20名程度の小さな出版社ですが、各地の民族画家たちが家の壁や床に描いていた作品をハンドメイドの版画絵本として出版し、そのプリミティブな表現は日本や欧米の読者たちを魅了しました。2017年～19年には彼らをとりあげた『世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦』展が日本国内を巡回し書店でも絵本の販売がスタートしましたので、作品や絵本を目にした方もいらっしゃることでしょう。

タラブックスの本社には書店が併設されており、絵本やポストカード、民族画家たちの版画などを購入することができます。インドの魅力的なお土産をお探しの方は、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

＜執筆者プロフィール＞
サンウェル　社長室 コンサルティング事業部　部長　渡辺千晶
インド専門の調査コンサルティング会社出身。インドをはじめとするアジア諸国におけるコンサルティング、進出セミナー、駐在者への研修などを担当。
インタビュー記事：https://sunwells.com/recruit/people/watanabe/

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