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オフショア開発について徹底解説|オフショア開発基礎知識Q&A

オフショア開発について徹底解説|オフショア開発基礎知識Q&A

近年、開発手法の一種として、オフショア開発が注目を集めています。メリットも多くオフショア開発を検討している企業も多いのではないでしょうか。今回はオフショア開発を行う前に押さえておきたい、オフショア開発に関する基礎知識をQ&A方式でまとめました。

Q:オフショア開発とは?

A:オフショア開発とはソフトウェアなどの開発業務を、海外の会社に委託する開発手法の一種です。日本のみならず海外でも多く取り入れられている手法となっています。

Q:オフショア開発の動向は?

A:オフショア開発を導入する企業は増加傾向にあり、システム開発を担う企業の半数以上はオフショア開発を導入していると言われています。一昔前は大手企業を中心に活用されていたオフショア開発も、現在は企業の規模に関係なく活用される傾向にあり中小企業でも積極的に導入されています。また、開発案件の規模に関係なくオフショア開発を行う企業が増えており、大規模な案件だけでなく小型の案件にもオフショア開発が採用されています。

Q:オフショア 開発のメリットとは?

A:オフショア開発のメリットは3つあります。

1つ目のメリットは「コストの削減」です。日本よりも人件費や事業コストが安価な国でオフショア開発を行うことにより、大幅なコストの削減が可能となっています。海外には高い技術力を持ったエンジニアも多く、上手くオフショア開発を行えばエンジニアの質は担保しながらコストの削減を実現することが可能です。

2つ目のメリットは「人材の確保」です。IT業界は長年人材不足に悩まされています。少子高齢化が進み労働人口が減少している日本において、今後も人材不足が解消される見込みは立っておらず人材の確保は一つの課題となっています。海外には優秀な人材が揃っており、オフショア開発を行うことで日本では困難となっている人材の確保を行うことができます。

3つ目のメリットは「業務の効率化」です。オフショア開発では人件費が安く抑えられる分、同じコストでも日本で雇用するより大量の人材を確保することができます。人材が増えることで一度に進められる案件の数も増え、効率よく仕事を進めていくことができます。

Q:オフショア開発のデメリットとは?

A:「コストの削減」や「人材の確保」、「業務の効率化」とオフショア開発にはメリットが豊富にありますが、デメリットもいくつかあります。

1つ目のデメリットは「コミュニケーションの難しさ」です。仕事を行ううえで社員間のコミュニケーションは欠かせませんが、異なる文化の中で育ち母国語も異なる外国人とコミュニケーションをとるのは簡単ではありません。英語など互いに認識できる共通の言語を使えば会話はできますが、細かいニュアンスまで伝えるのは難しく意図していることが正しく伝わらない可能性もあります。認識の違いから業務に支障を招くことがないように、円滑なコミュニケーションが求められます。

2つ目のデメリットは「時差の問題」です。オフショア開発先によっては日本との時差が大きく、連絡をとりたくてもすぐに連絡がつかず業務が円滑に進められないことがあります。打ち合わせや進捗状況を確認するだけでも、簡単にいかないこともあるでしょう。時差がある中で急なトラブルや修正が生じた際には、どのようにすれば迅速に対応できるのか考えることが求められます。ただし、オフショア開発先の選び方次第で、時差の問題は簡単に解決が可能です。時差の問題もあり日本では日本との時差が少ないアジアが、オフショア開発先として人気を集めています。

Q:オフショア開発の進め方は?

A:オフショア開発の進め方は次のとおりです。

1. オフショア開発先の選定

始めにオフショア開発先の選定を行います。オフショア開発先を選ぶ際は、国や企業のことをしっかり調べましょう。国によってエンジニアの技術レベルや賃金水準は異なりますし、文化や価値観も異なります。オフショア開発を行う目的をしっかりと考え、目的に沿った国をオフショア開発先として選びましょう。

2. 契約方式の決定

オフショア開発の契約方式は「受託契約」と「ラボ契約」の2種類があります。

受託契約とはプロジェクトごとに契約を結ぶ方式です。特に、単発の仕事を委託するのに最適な方式です。必要なプロジェクトに対してのみ費用をかけられるので、無駄なコストが発生することはありません。ただし、契約途中でプロジェクトの内容変更などが生じた場合は、追加費用が発生することもあるので契約前にプロジェクト内容をしっかり詰めておくことが大切です。

ラボ契約とは、期間を決めて契約を結ぶ方式です。契約期間内であれば一つのプロジェクトが終了しても、また新たにプロジェクトの発注を行うことが可能です。業務に慣れた同じメンバーで仕事を行えるので、効率よく仕事を進めていけます。ただし、プロジェクトの有無に関係なく契約期間は費用が発生するため、依頼できる開発業務が少ないとコストが割高になってしまうこともあります。

3. 仕様書の作成

仕様書を作成し、翻訳を行います。オフショア開発において仕様書は非常に大切です。日本で開発を行う場合は仕様書が多少曖昧でも意図を汲み取って開発が行われることもありますが、海外では仕様書に書かれていることが全てという傾向が強くあります。そのため、日本の感覚で仕様書を作成せず、意図が完璧に伝わるように明確な仕様書を作成する必要があります。

4. 開発管理

開発が滞りなく進行するよう、現地と綿密に連絡を取りながら開発管理を行います。国民性の違いによりきちんと管理しておかなければ、大幅に納期が遅れることもあるので開発管理はしっかり行いましょう。

5. 納品された製品の確認・検証

納品された製品に不備がないか、確認・検証していきます。必要に応じて修正依頼を出し、完成を目指しましょう。特に問題がなければ完了となります。

Q:オフショア開発を成功させるには?

A:オフショア開発を成功させるためには、いくつかコツがあります。

1つ目は「コミュニケーション」です。綿密にコミュニケーションをとることで、互いに信頼感が生まれ安心して開発を進めていけます。また、仮に開発途中でミスが起きていてもすぐに失敗に気づくことができ、大事になる前に軌道修正を図ることができます。

2つ目は「文化や習慣の違いを理解すること」です。国によって文化や習慣は異なるため、日本企業と同じ感覚で取引をしていると想定外の出来事が起こりうることもあるかもしれません。オフショア開発先の文化や習慣を理解したうえで、契約を結ぶことが大切となります。

●まとめ

オフショア開発は「人材の確保」や「コスト削減」効果が見込めるなど、メリットが豊富です。オフショア開発を導入する企業も増えており、有用な開発手法として注目を集めています。ただし、コミニケーションの難しさや時差の問題などの課題もあるため、オフショア開発を行う際はしっかりと取引国への理解を深め準備を整えていく必要があります。オフショア開発を検討している方は、紹介した内容も参考にしながらまずはオフショア開発への理解を深めていきましょう。

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