外国人エンジニアに必要な在留資格とは|必要な手続きと注意点も解説
外国人エンジニアを採用するにあたり、どの在留資格が必要になるかわからないという方は少なくないでしょう。在留資格にはさまざまな種類があり、それぞれ要件や在留期間が異なります。
本記事では、外国人エンジニアに必要な在留資格と必要な手続き、注意点を解説します。外国人エンジニアの雇用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
●外国人エンジニアに必要な在留資格とは
外国人エンジニアが日本で勤務するにあたって必要な在留資格には、以下の2つがあります。
・技術・人文知識・国際業務
・高度専門職
それぞれの在留資格について詳しく見ていきましょう。
◎技術・人文知識・国際業務
外国人材が日本でエンジニアとして勤務する場合、一般的には「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)」の在留資格を取得することとなります。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するには、まず以下2つの要件を満たす必要があります。
・日本の公私の機関(公的機関・民間企業など)との契約に基づくものであること
・「自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務」又は「外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務」に従事する活動であること
そのうえで、以下いずれかの要件を満たす必要があります。
・従事しようとする業務に必要な技術又は知識に関連する科目を専攻して卒業していること
・10年以上の実務経験があること
専門性の高い業務であるため、内容に合った学歴や職歴が求められます。採用予定の外国人材が上記の要件を満たすどうか、しっかり確認しておきましょう。
また、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」も必要となります。
参考:出入国在留管理庁「 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について
https://www.moj.go.jp/isa/content/001343658.pdf
◎高度専門職
高度専門職は、高度な技術や経験を持つ外国人材の積極的な受け入れを促進するために設けられた制度です。
高度専門職では、ポイント制度が導入されています。学歴や職歴、年収などさまざまな要素をもとにポイントが計算され、70ポイント以上を取得することが申請の要件となっています。
高度専門職に認定されれば、在留期間や活動内容などにおいてさまざまな優遇措置を受けることが可能です。在留期間については、最初に取得する「高度専門職1号」では5年、高度専門職1号の取得後に3年以上在留したうえで要件を満たした場合に取得できる「高度専門職2号」では無期限となっています。
そのほかにも入国手続きが優先的に行われたり、複合的な在留活動が許容されたりと企業・外国人材の双方にとってメリットのある制度です。ポイントの計算など特別な手続きは必要ですが、採用予定の外国人材が該当する可能性があるなら、取得の可否を精査する価値はあるでしょう。
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●外国人エンジニアの雇用に必要な手続き
ここでは外国人エンジニアの雇用に必要な手続きとして、以下4つのステップをご紹介します。
・在留資格の取得可否確認
・雇用契約の締結
・在留資格の申請
・ハローワークへの届出
順番に見ていきましょう。
◎在留資格の取得可否確認
まず、現在海外に居住している外国人材を雇用する場合は、必要な在留資格の取得可否を確認する必要があります。前述の通り、エンジニアの場合は基本的に「技術・人文知識・国際業務」または「高度専門職」のいずれかを申請することとなります。
それぞれ実務経験や学歴などの取得要件が異なるため、要件を満たしているかどうか確認しておきましょう。
すでに日本国内で働いている外国人材を雇用する場合は、既存の在留資格がエンジニアとしての勤務に適しているか確認しましょう。住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に対して就労資格証明書を申請することで、既存の在留資格で採用後の業務に従事できるかどうかの確認が可能です。
また、有効期間についてもしっかり確認しておきましょう。
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◎雇用契約の締結
必要な在留資格をすでに取得済みである場合、または取得可能であると考えられる場合は、雇用契約の締結に進みます。
契約書を作成する際は、日本語版に加えて英語版、もしくは当該外国人材の母国語版も作成しておくとよいでしょう。契約書を外国語で作成する場合は専門の翻訳会社に依頼するなど、内容のネイティブチェックは必須です。
日本人にとっては当たり前の内容でも、文化や言語の違いによって契約後にトラブルとなる可能性があります。そのため、英語や外国人材の母国語でしっかり内容を理解してもらったうえで契約を締結するのがおすすめです。
また、在留資格を新規で取得する場合は、念のため在留資格の取得を以て契約が有効となる旨も記載しておくとよいでしょう。
※外国籍の母国語で作成する場合は日本人社員が内容を確認できない、多国籍企業の場合は複数の外国語で作成する必要があることなどから「英語」で作成することが一般的です。
◎在留資格の申請
海外に居住している外国人エンジニアを雇用する場合は、まず在留資格認定証明書(COE)の交付申請を行います。証明書の交付後、外国人エンジニア本人が居住国の日本大使館または総領事館で申請手続きを行い、在留資格を取得します。
日本国内ですでに働いている外国人エンジニアを雇用する場合は、在留資格変更の要否を確認しましょう。在留資格を持っている外国人材だからといって、そのまま自社での勤務が可能な在留資格であるとは限らないため注意が必要です。
◎ハローワークへの届出
外国人材を雇用・解雇した場合、ハローワークへの届出が必要です。外国人雇用状況届出書の提出を忘れないようにしましょう。
ただし、雇用した外国人材が雇用保険に加入する場合は、雇用保険被保険者資格取得届を提出することで雇用状況の報告を行ったものとみなされるため、外国人雇用状況届出書のハローワークへの提出は不要です。
●外国人エンジニアを雇用する際の注意点
最後に、外国人エンジニアを雇用する際の注意点として、以下の2点をご紹介します。
・在留資格の取得には時間がかかる
・受け入れ体制の整備が必要である
◎在留資格の取得には時間がかかる
在留資格の取得が可能と見込まれる外国人材であっても、その手続きには一定の期間が必要です。
出入国在留管理庁が公表している
在留審査処理期間
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00140.html
によると、令和5年度第2四半期(令和5年7月1日~9月30日)における「技術・人文知識・国際業務」の初回申請では「在留資格認定証明書(COE)」の交付に平均53.0日かかったとされています。
在留資格認定証明書(COE)を取得して初めて、外国人材の居住国における在留資格の申請手続きが可能となるため、さらに長い期間がかかると考えておいたほうがよいでしょう。雇用開始までのスケジュールには余裕を持たせておく必要があります。
◎受け入れ体制の整備が必要である
外国人材を雇用すれば、社内に異なる価値観や文化がもたらされ、よい刺激になるでしょう。一方で、日本人同士の「暗黙の了解」が通じなかったり、文化の違いに戸惑ったりすることで、既存の日本人社員と外国人材が働きにくさを感じてしまうこともあります。
事前に日本人社員に対し、外国人材と働くことの意義や適切な振る舞いについて説明しておくなど、スムーズに受け入れられる体制を作っておくことが重要です。
●まとめ
本記事では、外国人エンジニアに必要な在留資格と必要な手続き、注意点を解説しました。
外国人エンジニアを雇用する場合、基本的には「技術・人文知識・国際業務」または「高度専門職」の在留資格を取得することになります。在留資格の取得可否を確認しながら選考や雇用の手続きを進めていくことが大切です。
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